不正咬合

歯ならびはどうして悪くなるのか

歯ならびが悪くなったのは、良く噛まなくなったことで顎の骨が大きくならずまた、良く噛まないことで舌や噛むための筋肉が育たなくなってきたと言われていますが、それだけではありません。
歯は顎の骨に生えていて顔の一部で、一族の顔を作る遺伝の情報と今までの生活習慣によって出来上がって来ます。遺伝の部分は決まっています。
が、起床してからどのようなものを食べ、どのように飲み込み、どのように会話し、どのような姿勢で過ごし、何があったのか、どのような姿勢で睡眠していたかまでの生活習慣が大きく影響します。関係がないと思われるかもしれませんが、噛む力や飲み込み方、話し方、ほおづえ、姿勢、睡眠中の歯軋りやうつ伏せ寝などで生じる力が歯ならびや顎の関節、顔に影響を与えて成長します。それらの力が適切であれば良い方向へ、不適切であれば歯ならびや顔に悪い影響を与えて成長します。顔にはその記録が残されています。できるだけ早く適切な生活習慣に整えることが大切です。これらのことを良くご存知の先生方は「三つ子の魂百まで」と言う諺は適切に的を得てると言っています。
不適切な生活習慣は、私が寝ずに3~4日観察すればすべてわかるのですが、現実的には不可能なので歯ならびや口腔内、顔を観察して想像することで保護者や本人に確認します。口腔内や顔を拝見すればおおよその生活習慣はわかります。顔の研究をしてきて良かったといつも思っています。
顔や歯ならびを良い方向へ成長させるには、日頃の生活習慣が大切です。どのような生活習慣がどのような影響を与えるかをできるだけ早く知り、不適切な生活習慣を改善し適切な生活習慣を作り維持するように努めることが大切です。
矯正治療後に治療前の不適切な生活習慣が残っているとまた歯ならびや顔が治療前のように戻ってしまいます。これを「矯正治療後の後戻り」と言っています。矯正治療をした先生の所為ではなく、歯科矯正治療後の生活習慣が不適切であったためです。歯科矯正治療前に不適切な生活習慣を総て改善できれば治療期間も短くなり、後戻りも全くありません。