お答えとして、歯ならびのことで疑問が起きた時は、すぐにおいでくださることが大切です。もしかしたら早いかもしれません、また遅いかもしれませんが矯正を専門に診療している先生の正しい意見をお聞きいただき、いつ始めれば良いかを判断していただければ良いと思います。
おいでになった多くの方が早かったのではと言われることが多いのですが、矯正治療を受ける方の口腔内を拝見すると、もう少し早くおいでいただだいていればと思うことが多くあります。主治医の歯科の先生から「永久歯になるまで待ちましょう」と言われて12歳前後でおいでになった方で、8歳ぐらいからおいでいただければこうならなかったのにと思うことが多くあります。主治医と患者さんとの信頼関係を損ねることはできず、患者さんに「遅くなるよりは今の時期で良かったですね」(これも本当のことです)ということしかできません。まだ開院したばかりの頃、紹介されたことを伝えられなかった方が「いつ頃来院すれば良かったのですか?」と聞かれたので、「適切な時期は成長開始する前の8歳ぐらいですね」とお答えしたところ、「主治医の先生に噛み合わせのことを8歳ぐらいから相談していたが、まだ早い」と言われていた。そのことを信じていたが「ここまで悪くなることを放置していたことは、裁判ものですね」と真顔で言われてことがありました。それから、慎重になり、十分に話を伺ってから、お話をするようになりました。受診者(治療を受ける人)または保護者に対しては正しい情報を伝えることが大切ではないかと思いますが、もっと早く来院すれば良かったと後悔され、免疫力が低下して歯がよく動かなかったり心の状態がマイナスになるよりは歯科矯正治療で歯が良く動いて矯正治療が早く終了することの方が良いのではと考えています。
初めておいでになられた方は、歯ならびを悪くしている原因をお尋ねし、了解いただければ検査をお勧めします。検査の資料を作成し、体と顎の骨の成長発育と歯ならびの出来ていく過程との関係をお話すると兄弟や姉妹の相談をされることが多くなりました。私の学生時代は歯科矯正治療の開始時期は例外はあるが多くの場合、永久歯の歯ならびが完成する10歳前後が適切であると教わりましたが、矯正学講座診療科に入局すると入試列の時期から歯科矯正治療を行なっており、新人教育でも早期の歯科矯正治療が大切であると教わりました。それから10数年ほど経過すると「歯科矯正治療を専門に診療している先生が3歳ぐらいから診療すると保護者は歯ならびが悪くなった状態を見ずに矯正治療を終わることができると言われていましたが、現在はこれから妊娠出産されるお父様お母様方からと言われるようになってきました。歯ならびを悪くしていく原因が母乳や人工栄養の摂取方法や離乳食が舌や咀嚼筋群の正しくない動き方が歯ならびに悪い影響を与えることもわかってきました。お父様お母様方にお願いすることがたくさんあります。好き嫌いを主張する前に正しい舌や咀嚼筋群の正しい動き方を習得してもらうことが歯ならびを悪くする大きな原因の一つを解決することになります。「三つ子の魂百まで」という諺があるように。おいでいただくのはできるだけ早い方が良いというお話をしていると、みなさんが心配してお考えになっていることの一つに、早く矯正診療を始めればその分治療費が高くなるのではということも心配されています。その質問は当然のことです。矯正治療費については後述しますが、当矯正歯科医院では矯正治療費にトータル・フィーという制度を採用しており、早くおいでになっても遅くおいでになっても矯正治療費に差が生じないように設定しています。これはできるだけ早くおいでいただきたいと考えているからです。また諺ですが「今日の一針明日の十鍼」という諺があるように放置して成長すればするほど歯ならびが悪くなるということがあります。このお話をすれば、多くの方がももっと早く来院すれば良かったと言われます。
不正咬合